尼崎市の新井司法書士事務所です。

実績

事件簿8(紛争性のある相続登記)
 身近な親族が亡くなり、不動産の名義を変更するため相続登記手続きの依頼を受けた後、本人の知らなかった相続人が存在することが判明したという事件が過去に数回ありました。

1 父が亡くなり一人息子が土地を相続したことによる登記手続きの依頼を受け、父の戸籍調査・相続人確定作業を進めていたところ、父が婚姻の直後に婚外子をもうけ、その子を認知していたことが判明。
 要するに、依頼者本人の知らない母親違いの兄弟が存在したということです。遺言書も残されていませんでしたので、土地を相続するためには、その認知された子と遺産分割協議をする必要があります。
 まずは、先方へ手紙を送り、事情を説明した上で、土地の相続手続きに協力してほしい旨を文章で伝えることにしました。
 勿論、先方様の生活状況や家族構成など何も分かりませんし、自分が認知された婚外子であるという怨恨の思いも少なからず抱えているかもしれません。
 できるだけ互いに感情論にならないよう気を使いながら、且つ、話し合いのテーブルについてもらえるよう切迫した事情も織り交ぜながら文章構成を工夫する必要があります。(ただし、切迫した事情を強調しすぎると、相手に足元を見られます)
 幸い、手紙を送ってから数日後、電話がかかってきました。要約すると、手続きに協力はするが(土地はあなたに譲るが)、自己の相続分に見合った対価の支払いを求めたいという趣旨のものです。
 先方からの解決策の提案(お金で解決しましょう)としては、当方も考えていた最も手っ取り早い最善の方策でした。少し道筋が見えてきたと感じました。
 ただ、相続対象となっていた土地が、立地も良く敷地面積の広い土地でしたので、見返りの対価と言っても、相当高額な金額になります。依頼者本人は、高額な対価の支払いを当初躊躇っていましたが、話し合いで解決できなければ調停や審判の裁判手続きに入ってしまい、解決までに数年かかる可能性があること、裁判に要する費用なども考えれば、結局、出ていく金銭の負担に大差がないこと、先方の要求する対価は決して法外な金額ではないことなどを説明しました。それでも裁判するか、最終判断は依頼者の専権事項です。
 結局、裁判はあきらめ、対価を支払い、土地を依頼者本人が相続するという内容で遺産分割協議を成立させました。先方にも代理人弁護士が就き金銭面での交渉もスムーズに進み依頼を受けてから2ヶ月程度で解決に至った事案です。

2 次も同じく、父が亡くなり土地を相続したいというご相談です。相続人は依頼者本人と生後間もなく養子に出た弟がいるということでした。養子に出た弟が存在することは分かっていたのですが、連絡をとりあったこともなく、どこで暮らしているのかも知らないという事情。他人同様の関係であったため、直接当事者どうしで話し合いすることは難しいと相談を受けました。
 やはり、まずは先方へ手紙を送りました。経緯を説明し、土地の相続登記に協力してほしい旨を文章にします。この事件も、幸いなことに手紙を受け取った先方様から電話がかかってきました。土地の相続を放棄することの見返りとして対価の支払いを求めたいという趣旨のお返事でした。
 私が、先方の方の自宅まで数回足を運び、互いの意向を仲介しながら、最終的に金銭面での折り合いがつき、解決に至ることができました。本件は先方に代理人となる専門家は就きませんでしたが、話し合いが長期化することもなく依頼を受けてから2ヶ月程度で解決に至った事案です。

3 夫も子もいない姉が亡くなったことにより、生前居住していた自宅を妹である依頼者本人が相続したので、登記手続きをしてほしいとのご依頼。
 戸籍調査・相続人確定作業を進めていった結果、実は姉ではなく、叔母であったという事実が判明(依頼者本人は姪として代襲相続権がある)。つまり、依頼者とは親が違うという訳でして、姉(と思っていたが叔母)の両親は聞いたこともない人、その(聞いたこともない)両親の子である姉(と思っていたが叔母)には、兄と姉が総勢8名存在、但しご存命は2名のみ、すでに亡くなった兄や姉の子ら(甥、姪)を含め総勢13名の相続人が存在し、その殆どが依頼者は名前すら知らないという状況です。
 本件は、相続人が多数であったため、取りまとめてくれる親族代表的な存在の方はいないかと考え、やや強行手段ではありましたが、亡くなった姉(と思っていたが叔母)に戸籍上最も近い親族である兄の自宅に直接伺い、面前で事情の説明をしました。
 亡くなった姉(と思っていたが叔母)は、幼いころ養子に出ていたため、そのお兄さんですら、かすかに子供の頃の記憶が残っているだけだったのですが、とても親切な方で、依頼者が名前すら知らない他の相続人の方に一人ずつ連絡をとり、相続手続きに協力してあげてほしいと仲裁をしていただいたのです。そのお兄さんの手助けが功を奏し、話し合いがこじれることも無く、相続財産をすべて依頼者が承継するという内容で分割協議が無事成立しました。
 但し、戸籍調査から相続人確定作業、分割協議の成立から、名義変更完了まで1年数ヶ月を要した事案です。



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